彼は思う。
今日はいい天気だった。
多分明日もそうなのだろうと思う。
彼は考える。
毎日同じようなことばかり繰り返してて何があるんだろう。
でも毎日何か全て違うような気がするから何かあるんだろう。
俺は一部だ。
世界の全てを構成する中の一部として生きているんだ。
でも何故俺以外の人間が動いて、話して、笑うんだろう。
何故俺が動かしている訳でもないのにあいつらは動くんだろう。
そんな事を考える。
そんな錯覚に陥る。
自分が全ての中心なのだと。
自分が居るからこそ世界が動いているのだと。
それは間違いないのだと思う。
自分が何も感じなくなったのであれば、その時点で自分の見ている世界は終わりなのだから。
その時点で、俺の世界は終わりなのだから。
だから世界は俺が居なくなれば終わるのだと。
そんな錯覚に陥るのだ。
実際俺が居ても居なくても何も変わることはないと云うのに。
それでもいいとは思う。
俺の居ない世界を俺の知らない奴も知ってる人も生きればいいと思うのだ。
俺の居る世界を生きていた時と同じように。
皆、俺の世界を生きればいい。
いつか終わりの来る世界だ。
だからこそ現在のあらゆる存在が愛おしい。
ふと、誰も居ない場所で、誰かが生きてる世界について考えてみた。
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